研究内容RESEARCH

当研究室は機械・システム工学的手法を基軸に医学・情報学的手法を融合させることにより、人間の構造・運動・感覚・感性を計測し,それをコンピュータモデルとしてモデル化する人間モデリング(デジタル・ヒューマン)に関する研究を行っています。人間モデルを構築するにあたり,人体形状・運動・材料特性大規模事故データなどの力学特性に関わるデータを収集します。例えば,医療機関との共同研究により,CTやMRI画像を収集し,人体内部形状・構造を3次元再構成することで人体内部の精密に再現した実体モデルやコンピュータシミュレーションモデルを構築しています。また,実生活環境もしくはスポーツの競技環境において「あるがまま」の運動や行動を計測,データベース化しており,機械学習手法を活用することにより人間の運動・行動特徴分類・予測モデルを構築しています。

さらに、この人間モデルを人間-もの-環境の三要素および人間間の相互作用の評価に応用することにより、快適で安全で有用な製品・環境・サービス・社会機能デザインに関する研究へと展開しています。例えば,現在は傷害バイオメカニクス、スポーツ工学、日常行動バイオメカニクス、感性工学に関する研究に取り組んでいます。

キーワード:人体モデリング,精密人体実体モデル,大規模シミュレーション,実環境計測,機械学習

傷害バイオメカニクス

怪我のメカニズムを解明し,より効果的に予防・診断・治療を行うためには,1)怪我が発生する際の人と製品と環境の関係性はどうであるか?2)実際に人体に作用する外力はどの程度か?3)その外力により,人体の組織はどのように,どの程度変形するのか? 4)その組織の変形がどの程度になると怪我が発生するのか?ということを解明する必要があります。本研究室では,1)の怪我の情報収集に関しては,交通事故や子ども・高齢者の生活環境事故の大規模データ,2)の外力情報の収集についてはマウスピース衝撃センサを用いた実スポーツ競技環境計測,3)4)については頭蓋内構造を再現した精密頭部実体モデルおよび有限要素モデルを用いた頭部外傷メカニズム研究を実施しています。応用先としては,交通事故,スポーツ事故,家庭内事故,乳幼児虐待など様々な受傷状況を対象に研究を行っています。

スポーツ工学・スポーツ外傷

スポーツにおけるパフォーマンス向上と傷害予防のために,競技団体・チームドクターとの共同研究として,実競技環境計測と人体モデルを活用したスポーツ工学・スポーツ外傷予防研究を実施しています。研究例としては例えば,車椅子陸上競技における駆動力計測システムの開発とスキル評価,精密頭部実体モデルとシミュレーションによるスポーツ脳震盪メカニズム解明(英国ラフバラ大学共同研究),サッカーにおける足部疲労骨折メカニズム研究,などを実施しています。

日常生活のあるがまま計測と特徴分類・評価法に関する研究

成人の健常者とは特性が異なる高齢者や子どもが快適な生活を送るためには,これらの群に適した安全安心に使用可能な製品を開発したり,身体能力向上もしくは低下防止のための運動介入をしたりすることが求められます。これを可能にするためには,子どもと高齢者の日常生活における製品の使い方やそれに伴う行動の特徴を定量的に評価し,指標を提示することが必要となります。そこで,子どもや高齢者の日常的な行動や製品・環境の使用挙動をマーカーレスモーションキャプチャ技術により,あるがままに計測し,その計測データに基づき,多変量解析や機械学習手法により動作の特徴パターンを抽出,分類し,技能を一目で評価できるスキルマップの構築を行っています。

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