理論解析の妥当性を検証するため, 以下に示すような, 回流水槽に取り付けられる小型の2関節イルカ形水中推進機構の 実機を製作しました.
この機構を用いて,推進効率特性の測定や流れの可視化実験などを行いました. 詳細は参考文献を見て頂きたいのですが,推進効率は思ったほど高くなく, 最高でも 30% 程度でした. この原因としては, 機構が小さいことにより流れが低レイノルズ数になってしまったことなど, 様々な要因が挙げられます.
以下には流れの可視化写真の例をお見せします.
これは水素気泡法という一般的な可視化手法によるものです. 水槽の前側にギザギザ状のワイヤーを張り, 電圧をかけると水が電気分解されて水素の泡がライン状に出て来ます. 水素を多く発生させるために塩(食塩)をどさっと入れています. また,水槽の下に45度に鏡を置き,水槽の下から見た画像を鏡を通じて 横から撮影しました. この写真の撮影時には機構は運動していますが, 機構まわりの流れはそれほど乱されていないことがわかります. また,機構後部の尾びれ近辺から, 乱れた領域が放射状に広がっていく様子が確認できます.