小型2関節イルカ形水中推進機構の実験 では,推進効率が30%前後と思ったほど高くありませんでした. その原因の一つに,実験機が小さくレイノルズ数が低くなってしまったことや, 実験機の工作精度や運動精度が良くなかったことなどが考えられました. また,デモンストレーション的な意味から,より大きな 実際のイルカなどと同等な大きさの推進機構をつくってみたい, との考えも湧いてきました. そこで下の図と写真のような,全長1.75m のイルカ形推進機構を製作しました.
この実験機はエアー駆動です. 圧縮空気をタンクに注入し, ラジコンで弁を開くと,圧縮空気がエアーモータへと流れモータが回転します. モータの回転運動はギアとクランクで往復運動に変換され,第1関節が バタバタと運動します. 第2関節はばね支持になっており,流体力を受けて受動的に運動します. 遊泳の様子の写真を以下にお見せします.
この実験機は最高約1.15m/sで泳ぎます. また第1関節のトルクと角速度を計測することにより, 推進効率を算出しました. その結果,推進効率は最大で70%近くまで出ることがわかりました. 一般的な二人乗りの小型ボートなどでのスクリューのプロペラは 40%前後と言われています. また,推進効率性能を重視した特殊なスクリューの推進効率も 70%前後です. つまり魚やイルカのような推進方法も, 決してスクリューに引けはとらないことがわかりました.